8月3日(日)、京都府鍼灸師会の生涯研修会に参加しました。
一年を通じた学びのプログラムで、今年のテーマは「多様性のある鍼灸医学および特殊鍼法」。
今回は、墨灸(すみきゅう)の施術を見せて頂き、体験もさせてもらいました。
一口にお灸といっても様々な種類があります。
その中で墨灸は、「薬物灸」という分類に入ります。
・薬物灸とは?
『皮膚に対して刺激性をもつ各種の薬物を使用し、患部に塗るか貼って局所の充血や、発疱などをさせるものである。(中略)今日の各種の湿布、鎮痛のための貼付膏薬もこの一種といえる』「図解 鍼灸手技マニュアル」より
ちょっとかたいですね。つまり、「貼るお灸」、「塗るお灸」ということになり、「火を使わないお灸」でもあります。
その薬物灸の中の墨灸。
・墨灸とは?
「墨灸」は、鍼灸の専門学校時代に名前だけはチラッと聞いたことがあるようなないような(寝ていたのか…)くらいの記憶で、どんなものなのか知りませんでした。
起源は朝鮮半島からだそうで、日本では駒井一雄博士(京都大学医学部卒業)という先生が昭和の初めに普及に努められ、とくに滋賀県を中心にして広まったとのこと。
黄柏(おうばく)という生薬(消化促進・健胃整腸)を煎じてその液で墨をすり、麝香(ストレス改善他)、樟脳(鎮痛・血行促進他)、ヨモギなどの生薬を混ぜてできているそうです。
そうしてできたものを綿棒で経穴(ツボ)に塗ります。
貴重な初体験です。
この黒いところが墨灸です。
墨の香りがプーンとします。麝香や樟脳など芳香性の生薬も入っているので、独特の香り。
質感は「ネチョッ」と「ドロっ」の間くらい。
「ごはんですよ(海苔の佃煮)」より粘度が高く、生薬の粉末が入っているので、ちょっとジャリジャリとした感触。
塗った後は、少しスーッとするようなヒリヒリっとした感覚(樟脳の作用でしょうか)でした。
この墨灸は、火を使いません。
したがって、小さなお子さんの「おねしょ」「夜泣き」「疳の虫」などにも多く使われてきたそうです。
今回は、実技も拝見しました。
たくさんの大人に見られる中で、がんばってくれています。
墨灸の講義の後は、「三穴五鍼法」という喘息症状に対する鍼灸治療、そして「ぎっくり腰と慢性腰痛の相違」という演題で非常に実践的な内容を教えて頂きました。
ありがとうございました。
参考文献 「図解 鍼灸臨床マニュアル」尾崎昭弘著 医歯薬出版株式会社
リンク先 黄柏 麝香 樟脳 「Wikipedia」